内臓脂肪と皮下脂肪の違い

内臓脂肪・皮下脂肪とは

体脂肪の種類には、内臓脂肪と皮下脂肪の二つがあります。皮下脂肪は、手でつまんで分かるお尻周りや太ももなどの脂肪で、体の脂肪の大部分を占めています。
一方、内臓脂肪は内臓の周りに蓄積される脂肪で、目には見えませんが、蓄積すると様々な代謝異常を引き起こす可能性があります。
そのため、内臓脂肪には注意が必要です。内臓脂肪が増えると、健康リスクが高まることが知られているため、定期的な運動や食生活の改善などを通じて、内臓脂肪を減らすことが重要です。

内臓脂肪と皮下脂肪の違いとは

内臓脂肪は男性に多くつきやすいと言われており、上半身がふっくらしたように見られるため、内臓脂肪型肥満は別名「リンゴ型肥満」とも呼ばれています。 一方、皮下脂肪は女性に多くつきやすく、下半身がふっくらしたように見えることから、別名「洋ナシ型肥満」とも呼ばれます。 女性は、エストロゲンという女性ホルモンの働きにより、内臓脂肪がつきにくい傾向がありますが、更年期以降は内臓脂肪がつきやすくなることがあります。
中高年になってお腹周りのサイズが増えてきた場合は、内臓脂肪に注意が必要です。女性のメタボリックシンドロームの診断基準の一つとして、ウエスト90cm以上という項目があります。 内臓脂肪は、蓄積すると脂質異常や高血圧、高血糖などのリスク因子となりますが、細胞が皮下脂肪よりも小さいため、脂肪はつきやすいですが落とすのも比較的に楽という特徴があります。

内臓脂肪がつくことによる
デメリット

脂肪は体を動かすエネルギー源になったり、内臓を衝撃から守ったりと体にとって重要な役割を果たしています。しかし、蓄積しすぎて肥満になると病気になるリスクが高まります。
特に内臓脂肪が過剰に蓄積すると、生理活性物質が異常分泌され、生活習慣病などのリスクを高めることが知られています。適度な脂肪摂取と運動を心掛け、健康的な生活習慣を保つことが大切です。

内臓脂肪の蓄積と肥満の基準

内臓脂肪の蓄積具合を見た目で確認することはできないため、腹囲とBMIという目安によって判断します。メタボリックシンドロームの診断基準の一つは、CTスキャンで身体の断面図を調べたときに、内臓脂肪の面積が100㎠以上ということです。
腹囲の数値に変換すると、日本人男性で腹囲が85cm以上、女性で90cm以上とされています。

腹囲の測り方

腹囲を正確に測るには、次の3つのポイントに注意が必要です。

  1. ベルトを外して測定します。両足を揃えて立ち、体の力を抜いた状態で、両腕は体の横に下します。測定は食前に行うようにしてください。
  2. 息を吐いた状態を保ち、おへその位置にメジャーを当てます。この際、ウエストの位置に当てないようにしてください。
  3. メジャーが平行になっていないと数値が正確に測れないため、メジャーを地面と平行に巻くようにしましょう。

BMIは、肥満や痩せを判定するために国際的に用いられている体格指数のことです。

BMIの計算式

BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)×身長(m)]

肥満度の分類(日本肥満学会)

  • 40.0 ≤ BMI :肥満(4度)
  • 35.0 ≤ BMI < 40.0 :肥満(3度)
  • 30.0 ≤ BMI < 35.0 :肥満(2度)
  • 25.0 ≤ BMI < 30.0 :肥満(1度)
  • 18.5 ≤ BMI < 25.0 :普通体重
  • BMI < 18.5 :低体重

例)168cm、体重73㎏の場合 73÷(1.68×1.68)=25.86 …肥満(1度)となります。

肥満度の分類は国によって異なりますが、BMIの計算式は世界共通です。日本肥満学会の基準によると、BMIが25以上では肥満とされ、生活習慣病にかかる可能性が高まるとされています。ただし、BMIからは筋肉と脂肪の量や内臓脂肪と皮下脂肪の比率までは分からず、見た目と実際の数値が異なっていることは往々にあります。
標準体重はBMI22で、計算式は[身長(m)×身長(m)]×22となり、この数値に近いほど生活習慣病などになりにくいとされています。 BMIはあくまでも目安であり、自分自身の健康状態を確認するための一つの指標として活用しましょう。

内臓脂肪はなぜつくのか

加齢による基礎代謝の減少

エネルギーを貯蔵する役割を担う脂肪は、摂取カロリーが消費エネルギーを上回ってしまうことで、過剰分が脂肪として蓄積されます。
基礎代謝とは、最低限の生命維持に必要なエネルギーのことで、年齢とともに減少していくので、若いころと同じような生活をしていると、内臓脂肪がつきやすくなる傾向にあります。

食べ過ぎによるカロリー過多

 

摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、体内に余った分が脂肪として蓄積されます。
栄養バランスが乱れている場合は、それほど食べていないのに脂肪がつくこともありますので、注意しましょう。

運動不足によるエネルギー消費量の減少

運動不足は内臓脂肪がつきやすくなる大きな原因の一つです。駅の階段を利用する代わりにエスカレーターやエレベーターを使ってしまったり、歩くべき距離をタクシーで移動したりしてしまうという人は注意が必要です。
定期的な運動習慣を身につけることで、健康的な体を維持し、内臓脂肪の蓄積を防ぐことができます。

内臓脂肪を減らすには

内臓脂肪は皮下脂肪よりも小さく、消費しやすい脂肪ですが、運動不足や偏った食事が原因で蓄積しやすくなります。内臓脂肪を減らすためには、摂取カロリーよりも消費カロリーが多い状態を維持することが必要です。
ただし、食事制限を行い過ぎると、筋肉も減ってしまう可能性があるため、適度な運動と健康的な食事を両方取り入れることが重要です。健康的なライフスタイルを維持することで、内臓脂肪を効率的に減らすことができます。

健康的な食事

「食事バランスガイド」に従い、栄養バランスの良い食事を心掛けることが大切です。揚げ物や炒め物は一日に1回までと控えめにし、野菜不足にならないように毎食野菜をたくさん摂りましょう。
アルコールの摂取量やお菓子の食べ過ぎにも注意してください。また、早食いは肥満の原因になるので、よく噛んで時間をかけてゆっくりと食べましょう。就寝前や夜遅くに食事をすると体脂肪として蓄積されやすくなるので、食事する時間を考慮することも重要です。1日3食しっかり食べることで、健康的な生活を送りましょう。

中性脂肪とオメガ3

内臓脂肪を減らすために、脂質を極端に摂取しないのはよくありません。脂質の種類の中には、体調を整えるために必要な必須脂肪酸が存在しているからです。
必須脂肪酸のオメガ3(n-3系脂肪酸)は植物油や魚介類に含まれており、内臓脂肪が蓄積される前の血液中の中性脂肪を低下させる効果があります。オメガ3には「DHA」「IPA」「α-リノレン酸」などがあり、食品からしっかり摂取することが大切ですが、加熱に弱いため、アマニ油やえごま油をドレッシングとして使ったり、新鮮な魚をお刺身やマリネにしたりなど、加熱を控えるようにしましょう。
※IPAはEPA(エイコサペンタエン酸)とも言います。

適度な運動

脂肪を燃焼させるためには、ウォーキングや水泳などの有酸素運動を行うと効果が得られやすいです。運動するのが苦手な方や運動をする時間がない方は、早歩きすることをお勧めします。早歩きすることは、続けやすく普通に歩くよりも負荷がかかるため効果が出やすいです。運動時間は20分程度が理想的ですが、休みを取りながら5分~10分の運動でも脂肪を燃やすことは可能です。
体を動かす習慣を少しずつ身につけるためにも、まずは万歩計を付けて1日の歩数を増やすことからスタートしてみましょう。また、買い物や家事なども運動になるので、こまめな運動を積極的に行うようにしましょう。

脂肪を1㎏、腹囲を1cm減らす
方法について

内臓脂肪型肥満は、健康に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上であれば、1ヶ月に体重1㎏、腹囲1cmのサイズを落とすよう心掛けましょう。また、運動による消費カロリーの増加と食事によるカロリー制限を行うことで、1ヶ月に1㎏の減量が可能です。身近な食品のカロリーを知って、栄養をしっかり摂りつつ、カロリーダウンを目指しましょう。
豚肉や魚の部位の選び方や調理法によって、ヘルシーな食事になります。運動は、早歩きや水泳など簡単にできるものから始めましょう。週に一度の腹囲測定と毎日の体重測定を習慣化して、腹囲とBMIの数値に変化があるか確認し、内臓脂肪の減量に励みましょう。

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